司法書士の仕事はAIに奪われるのか?文章生成AI(claude3.5)に法律について聞いてみた

仕事

こんにちは、しろです。

大層なタイトルですが、今回は文章生成AIに司法書士分野に関する質問をして、実際に使えるレベルなのかを確認してみました。

「AIに奪われる」ってコレだけじゃないですが、現段階で文章生成AIの知識について確認したいかたは参考にしてみてください。

claude3.5の利用方法

費用

claudeには,無料版と有料版の Claude Pro(Opus)があり、有料版の価格は月20ドル(米国)、18ポンド(英国)、18ユーロ(EU)です。

有料版である Claude Opus は、GPT-4 や google Gemini Ultra よりも精度が高く、現在(2024年3月)時点では最強と言われているそうです。

今回試すのは、そちらの無料版です。

claude の無料版には利用制限があり、今回は6、7個質問したところで次のような表示が。

17時リセットということのようですね。打ち切られました。

なお、Subscribe to Pro をクリックすると有料版への登録に進みます。

claude を利用するために必要なもの 

今回claudeの登録・利用に必要だったのは以下のもののみです。

・PC
・スマートフォン(電話番号認証)
・Googleアカウント(またはメールアドレス)

ブラウザはchromeを利用しているため、思い立ってから5分とかからず利用開始できました。

さっそく質問してみました

さっそく利用開始!と思ったら次の表示が。

混雑やメンテがあるとはじかれるようですね。

数分待ったら利用できるようになったので気を取り直してGO!

質問1 登記識別情報について

『登記識別情報って何ですか?』と聞いた結果がコチラです。

おおおおおおおおすごい。こんなに詳しく出るとは。

文章生成AIはほとんど使ったことがない脆弱者だったためこの時点ですでに感動!

がっ、しかしっ!

さあAIは専門職の仕事を奪うのか? 専門職らしく誤りを指摘していきましょう。

まず、『利用が1回きり』というのは誤りですね。抵当権設定などは何回やっても登記識別情報が失効することはありません。

所有権移転登記に使用された場合でも、移転が抹消されればまた有効になるため厳密には違います。

『紙ではなく、電子データで発行される』についても、実際は『登記識別情報通知』というタイトルで書面発行されるため、疑義がありますね。

これに関しては、質問の際に『登記識別情報通知』という書面についてではなく『登記識別情報』を対象しているため「電子データで発行」と言われればそうかもしれないですね。

注目すべきは、最後に「専門家に相談することをお勧めします」と言ってくれている点。AI自信が、AIの情報が正しくない可能性があるとわざわざ注意してくれるのってすごいですね。

では次に行きましょう!

質問2 所有権移転登記の必要書類

次に『所有権移転登記に必要な書類は?』で聞きました。

うんうん充分すごい。

住民票が3カ月以内とかは誤りですね。権利者の住所証明情報は期間制限なしです。

納付書納付の情報を拾ってくるとは驚きです。一般のサイトにはあんまり書いてない気がするので、こうした情報は法務局とか公的なところから優先で拾ってくるのかもしれないですね。

そして、最後に「具体的なケースについては専門家へ」と案内するのエラい!

というかAIが専門家をオススメする時点で、現段階での信頼度は専門家の方が上という結論でいいのでは?

質問3 特別縁故者の改正法について

ちょっとマニアックな相続法改正についても聞いてみました。

ん?えーと、ちょいちょい違いますね(笑)

改正日や、1についても赤線ひいてませんが申立期間も違う。相続財産管理人を相続財産清算人と呼んでいないのもある。

4は、自分が知らないだけかもと混乱。実際に案件入ったら調査しよう。

5も気になる。審判を裁判と呼んでいる点についてはまあ間違いではないし良いでしょう。

でも5はさすがに嘘だよね?と思って公的な資料を検索。

熊本家庭裁判所のpdfを見つけました。→相続財産の清算人の職務について

ここから一部抜粋したものが次のとおり。

権限外の行為として訴訟の提起や訴えの取り下げ等がありますが、これは亡くなった被相続人の財産を保全する立場としての行為と考えるのが普通ですよね(゜-゜)
これらは特別縁故者の『申立て』ではなく訴訟の話ですし。

やっぱり相続生産管理人からあえて特別縁故者を申し立てるような権限はなさそう。

(※間違えていたら訂正しますのでご一報くださいませ。)

記事テーマの本筋に戻しますが、こうした改正情報等については「AIは使えない」と言って良さそうです。

「AIは既存の文章をネット上から拾ってくるシステム」と考えれば、当然と言えば当然ですが。

質問4 司法書士報酬が高い理由

次は、依頼者によく言われる質問『司法書士報酬はなぜ高いのか?』をぶつけてみました。

その答えがコチラです。

はい模範解答!

司法書士目線である点はしょうがないとして、最後の『専門家に依頼することで、長期的には問題を防ぎ、コストを抑えられる』とかも良いですね。

あとは登録免許税が高いことを言ってくれれば完璧だったか。

費用が高いと言われてどうしても反応に困る方は印刷して使ってみてください(*’▽’)

感想 文章生成AIは法律系分野(特に改正情報)は不十分

今回claude3.5を利用してみた感想は見出しのとおりです。

既存の法律や仕組みについては、質問しただけでここまで返ってくるのはめちゃくちゃ優秀。

かなりの精度だし、ちゃんと専門家に聞いてね、と付け加えてくれるのは士業としてありがたい。

これに対し、改正法についての正しい情報はネット上でも拾いにくいためか、情報が錯綜して鵜呑みにするにはかなり危険な域と思われます。

claudeは、法律関連の文章生成を推奨していない。

実はですね、、、利用前にこのような記載が。

そりゃそう。

他の文章生成AIも同じような記載があるのか、次の機会に確認したいと思います。

『AIによる法律知識は正確でない』が社会的な共通認識になるよう努めたい

今回いろいろと質問をしてみて、少なくとも現段階ではAIの知識は相当に不安があると再認識できました。

依頼者さんが『AIに聞いたらこう言ってるけど』と仰るのがスタンダードにならないよう、努めていかなければなりませんね。

それではまた(*’▽’)

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