司法書士試験 『時間が足りない』を解決する、予備校では教えてくれない時短アイデア

仕事

司法書士試験で誰もが通る『時間が足りない』問題。

最近では択一の長文も増え「あと10秒足りなければ1問足らず不合格だった」といった合格者も多いのが司法書士試験です。

しかし予備校では時間短縮だけを目的とした講座はなく、対策にしっかり手が回る受験生は多くありません。

・試験時間が足りない
・毎年択一基準点を超えるが記述落ちしてしまう
・長文問題は嫌だ

今回はそんな方のために、実際に有効だった時間短縮の方法をまとめてみました。

本記事で紹介する方法により筆者も合格に大きく前進できましたので、1秒でも短縮できるようアイデアの参考にしてみてください。

記事の信頼性(実際に時短対策をやってみた結果)

本記事で紹介する対策方法を筆者が実際におこなったのは、合格した年(6回目)が初めてでした。

働きながらで4回目の試験から択一基準点を超えるようになりましたが、4回目、5回目ともに少し時間が足りずどちらも記述落ち。

4、5回目はともに記述解答をやっと(ごまかし込みで)書き切り、見直し時間は全くないくらいのタイミングでした。実際には時間が足りてなかったと言えます。

しかし合格した年は、本記事で書いた方法を念入りに取り組んで大幅な時間短縮に成功。

記述の見直し時間までしっかり確保でき、無事に倒し切ることができました。

それでは、改めて時間対策のメリットと具体的な方法を紹介していきます。

時間対策のメリット

問題を解く時間を短縮するメリットは、当然ながら点数を多く取って合格に近づくことの1点です。

例えば長文問題が出たとき、多くの受験生は『長文だ、ヤバイ』になるところ、速読が得意であれば『長文だ、ラッキー!』になります。

長文問題が出るほど他の受験生からアドバンテージを得るチャンスになりますので、対策の1つとして積極的に速読に挑戦すると良いでしょう(速読については後で詳しく紹介します)。

(ちなみに長文はその分ヒントも多いため嫌がる必要はありません。)

何回も心が折れそうになる本試験ですから、少しでも時間短縮できる技術を手に入れてストレスを軽くしておくことが大きな成果につながります。

何に時間をかけているかを切り分けて対策する

自分がどこに時間をかけているかが分かれば、自分に合った時短の対策が可能になります。

試験問題を解く際の時間は、次の4つに分かれます。

・問題を読む時間
・書く時間
・考える時間
・その他の時間(休む、ページをめくる等)

これらを切り分けて考え、どのくらい時間をかけているかを実測するなどして1つずつ対策するのが大切です。

以下、それぞれの対策方法の一例を紹介していきます。

書く時間を短縮する方法

書く時間を短縮するオススメの手順は、以下のとおりです。

・解答を丸写しして、かかった時間を測る
・速さの限界に挑戦する(読めなくてもいいくらい速く書く)
・読める文字を速く書けるラインをさがす
・鉛筆の持ち方を変えてみる

司法書士試験で『書く』作業が必要なのは、マークシート35か所と、午後は記述問題の回答です。

午前の試験はマークのみのためあまり問題にならないでしょうが、午後においては3時間 ― 回答を書く時間 = その他の時間』という事実を充分に意識する必要があります。

書く時間を把握できれば、本試験に使う時間をより明確にプラニングできるためです。

書く時間に50分かかるなら、その他は2時間10分を割り振るしかありません。

次に、ポイントと手順をより詳しく紹介します。

解答を丸写しして実測する

書く時間を把握するには、過去問の解答例を用意して『黒塗りマーク35回と記述解答の丸写し』を2,3回ほど行ってみるのがおすすめです。

筆者の場合、なんとなく30分くらいかかっているだろうと予想してやってみたところ、初めての時は丸写しだけで45分もかかっていることがわかりました。

ここに目を向けずに択一に時間を割いていては、足りなくなるのも当然の結果でした。

速さの限界に挑戦する

丸写しを1,2周したら、次は書く速さの限界に挑戦してみましょう。

疲れるため、少し時間を置いても大丈夫です。

初めは文字が読めなくてもいいくらいの意識で、限界速度に挑戦するといいです。

この時、最初に丸写ししたときと比べて5分~10分短縮できる方が多いと思います。

書いた文字を見直して充分に読めるのであれば、いままで遅く書いていたということです。これだけで書く時間の短縮に成功する人もいるでしょう。

読める文字を速く書けるラインをさがす

速記の限界に挑戦した結果、残念ながら本当に読めない文字になってしまったなら、それでは本試験で採点されない可能性が高いでしょう。

この場合は速度を少し落として練習し『読めるかつ速い』ラインを探さなければなりません。

このラインが見つかれば、やはり1回目に計測したタイムよりは速くなっていると思います。

もし書く時間が短縮できなかったとしても自分の書く時間の『把握』はできるため、他の時間短縮に努めるしかないと課題がはっきりします。

筆者の場合は、それまで午後択一を80~90分の想定で行っており時間が足りなくなっていました。

しかし記述の時間をなかなか短縮できなかったため、午後択一の目標時間を60分~70分に改めたところ時間配分がうまくいきました。

鉛筆の持ちかた、書き方を変えてみる

意外と重要視されないのが鉛筆の持ち方と、書き方です。

誰もが普段は慣れ親しんだ持ち方で文字を書いているため、自分の持ち方が正しいと思っています。

そして書くこと自体に『疲れる』などのネガティブイメージを持っている場合、無意識に記述の勉強を遠ざけているケースがあります。

そこで『鉛筆 持ち方 疲れない』などと検索し持つ位置や握る強さを変えて試してみてください

より良い持ち方が見つかると、疲れにくくなり書く速度もアップします。
書く前には準備運動も忘れずに行いましょう。

書くことの疲れが軽くなれば、普段の記述勉強も取り組みやすくなる効果もあります。

読む時間を短縮する方法 

次に、読む時間の短縮するためのオススメの方法は以下のとおりです。

・速読を練習する
・文章のチェック方法を最適化する
・普段の問題演習を本試験ペースで行う

速読ができると時間の短縮になるのはもちろん、長文問題で他の受験生よりアドバンテージを取れるため、精神的にも楽になります。

 速読を練習する

まず単純に速読を練習しましょう。

合格後は、仕事でもある程度の速読ができなければ稼ぎに影響するため苦手と言わずに少しでも速くなるよう取り組む意識が大切です。

速読のヒント

速読が苦手という方のために、克服に向けて少し考え方のヒントを用意しました。

まず以下の文章を読んでみてください。

この文章を読むと、どのらぐい速読が苦手なのか、速読を克服するために自分はどすうれいいのかがかわまりす。

そもそも問題を読む、記述の解答を書くこにとついて、意外と自分の最速高度や要重性が分かっていない人も多いと思います。

まずは自分の速度を計り、どのぐらい縮めれば間に合うのかを把握するとこらかろがスタートになまりす。

では引き続き、速読速記につてい一緒に考えきていましょう。

さて、ここまで読んでおかしなことに気づいたでしょうか?

実は上の文章は、ひらがなや漢字を並べ変えながら書いています。

『重要性』→『要重性』
『どのぐらい』→『どのらぐい』
『わかります』→『かわまりす』

という感じで、他にもあります。

1,2文字ごとの入れ替わりなら、脳は自分の都合のいいように並べ替えて普通に読んでくれるそうです。

『ある程度文字が並んでいれば、瞬間的・写真的に読んでも理解できる』ということです。

つまり、文章はサッと一瞬で読んでしまって大丈夫なので、思い切ってまず速読に挑戦する意識を持ちましょうというのが第一歩です。

チェックの精度を上げる方法も探す

読む速度を上げることで、チェックの精度が悪くなればあまり意味はありません。

これについては『読む+解く』をセットにして次のように練習を重ねるのがおすすめです。

・過去問などを利用して35問の限界速度でやってみる
・読み飛ばしによるミスの数を確認
・読み飛ばした理由を考えてチェック方法を修正していく
・読み飛ばさない限界の速度を探る

やはり最高速を目指してから速度を落として調整する方針で、その中でよりよいチェック方法を探るのが良いと思います。

チェック方法の強化はなんとなく対策するのではなく、自分が読み飛ばした理由をしっかり考えてその理由を潰す対策が必要です。

チェックの強化については、以下も参考にしてみてください。

1文字で意味が全く変わる箇所には必ずチェックを入れる

例えば抵当権、根抵当権では、1文字で意味が全くかわります。

この場合『根』には必ず○やアンダーラインなどをつけてチェックします。

『できる、できない』なども同様で『る』『ない』の1字2字で正反対の意味になってしまうため必ずマークします。

筆者の場合、鉛筆のみで見直しの際もすぐ把握できるよう○を何重かに濃く書いて目立つように対策しました。

考える時間(読んでから回答を出すまでの時間)を短縮する方法

読んでから解答を出すまでに考え込んでしまう場合、対策方法は2つあります。

・普段の勉強
・一旦飛ばす

『普段の勉強』についての考え方は次のとおりで『一旦飛ばす』については後ほど紹介します。

普段の勉強

読んでスッと答えが出ない原因は明白で、単純に勉強不足と演習不足の原因が大きいです。

この場合の課題は知識の強化ですので、普段の勉強をコツコツ続けましょう。

また、知識不足以外では未出論点が出題されて悩むケースがあります。

この場合は長々と考え込んでも結論を出せないか、結論を出しても間違えている可能性は残ります。

対策としては、すぐにその肢または問題ごと飛ばす等の判断が必要です(この判断の精度も、結局のところ普段の勉強の積み重ねによります)。

普段の択一問題練習の目安は1時間180肢ペースを目指す

1肢問題(○×問題)を使った練習は、1時間180肢(20秒で1肢)ペースを目指すのがオススメです。

本試験では午前・午後それぞれ35×5肢=175肢出題されるため、これを約1時間ペースでできるなら速度としては充分すぎます。

(もちろん初学者のうちは速度練習より内容理解が先です。)

午前は2時間で35問(175肢)のためここまで速度に拘る必要はありませんが、この速度に慣れておいた方が見直しも充分できますし休憩にも使えます。

問題は午後です。択一を1時間~70分、遅くて80分程度を目標に想定しておくと記述の時間確保もしやすいでしょう。

以下補足です。

問題の進め方として、これだけ速く読まなくても『1.アイ』のように解答を判断できた時点で他の肢を読まないという方法もあります。

ただしこれでは勘違いに気づかない可能性が高くなって、確実性が落ちるので個人的にはおすすめしません。

なお筆者の知っている上位合格者は、全肢読んでいた人が多いです。

その他の時間短縮方法

これまでに紹介した以外で、次のような時間短縮方法があります。

・色付きマーカーを使う・または使わない
・少しでも迷う問題は飛ばす
・解く順番を決めておく
・デジタル時計を使う

色のついたマーカーを使う・または使わない

色付きマーカーの利用は、人によって相性が全く違います。

カラーマーカーは、特に記述における添付書面の要素チェックや役員の任期管理など、上手く使えば見落としを減らす良いツールになります。

一方で、直前期はインク切れの心配や同じものを用意しなければならないというストレスになる可能性はあります。

筆者の場合はペン持ち換えの時間が無駄と考えたため、鉛筆のみでチェックできる方法を探していきました。

カラーを上手く使って上位合格した方も知っていますので、とにかく問題点を切り分けて自分に合うか試してみる行動が大切です。

少しでも迷う問題はすぐ飛ばす

問題を解く順番はいろいろありますが『確実に解ける問題から最速で解く』のがオススメです。

考えれば解けそうと思っても、少しでも「不安がある・確実とまでは言えない」と感じたらガンガン飛ばす方針です。

理由は次のとおりです。

・正解数を確保できるため安心感になる
・それまで解いた問題については最短時間でできていることになる
・解ける問題を後に回すと、混乱して間違えるケースが増える

確実な問題を先に解けばその分の得点は確保できますし、このときに使った時間は自分の中での最短なはずです。

つまり、ここまでは自分のベストパフォーマンスを確保できていることになり、気分も良くメンタルの消耗も押さえられます。

これに対してあまり良くないのは『悩んだ末に飛ばす』です。

悩んで飛ばすと、その問題で点数を取れるか分からない『不安』と『考えた内容』が記憶に残ってしまいます。

これではマルチタスク状態になり、脳のリソースとメンタルが削られた状態で他の問題を戦うことになります。解けたはずの問題でも、混乱して間違える可能性が上がってしまうでしょう。

ある程度悩んだなら、一旦は答えを出してクリアな状態で次に進んだ方が良いと思います(この場合でも『不安』は抱えることになりますが)。

筆者の場合『解く順番は1から』『確実でない問題はすぐ飛ばす』方法で、20分~30分ほどで10~15問程度、確実な正解数を確保できていました(合格年度、模試を含む)。

30分ほど経過した段階でメンタルの消耗がほぼ無く正解も確保できている安心感があるかつクリアな状態で次の問題に進めるのが、この方法のメリットです。

解く順番を決めておく

例えば「民法から」「会社法から」のように解く順番を決めておくのも、時間対策の1つです。

要するに得意なところからやる作戦ですので、本質は『解ける問題から解く』と一緒だと思います。

ただし、解ける問題を選ぶことに長々と時間をかけては意味がありません。

基本的には一定の順番に従って問題を解き、やはり解けないまたは時間がかかると判断した瞬間に飛ばす方針がオススメです。

デジタル時計を使う

試験に使う時計は、以下のタイプがオススメです。

・デジタル時計
・秒までカウントされる
・小さめ(手のひら以下)サイズ
・アラーム機能が無い
・できれば乾電池式

アナログ時計は針を見てから数字感覚に直す手間があるため、デジタル時計の方が視覚的に時間を把握しやすいです。

時計を見るたびに残り時間の把握に1秒かかっていたら、10回見たら10秒かかります。これが10秒で1問を争う試験において致命傷になる場合もあります。

秒がカウントされるタイプは、試験開始の合図がされた時間(秒)をチェックすることによってロスタイムが何秒あるかわかるメリットがあります。

アラームは鳴ってはいけないためアラーム機能の無い機種が望ましいです。
ただしアラーム付きの機種が多いため、その場合は視覚的にアラームオフが分かりやすいタイプが良いでしょう(筆者の場合はアラーム機能がありましたが丁寧にオフにしていました)。

電池式をオススメするのは、充電式よりも切れない安心感のためです。

※ただし、必ずその年の持ち物として利用可能かを確認してください。
デジタル時計が禁止だった例は聞いたことがありませんが、念の為デジタルとアナログ両方用意しておくのも手です。

見直しの最適化

見直しには次の2つの時間がかかります。

・ページをめくって探す時間
・(手をつけた問題であれば)悩みを思い出す時間

これが意外と無視できません。

筆者の場合、ページ左上にある問題番号に大きく二重線、△、○を使い分け、視覚的に分けました。

ページを折るのは元に戻ってしまいますし、折った内側のページか外側のページかがわからなくなるためオススメしません。

すでにオススメした『確実にできる問題から最短で解く』方法であれば、「ページをめくる・思い出す」作業の発生回数も減らせます。

まとめ

今回は、司法書士試験で時間が足りない問題を解決するアイデアを紹介しました。

速読や誤読チェックは、仕事にも使う重要なスキルです。ある程度試験で戦える知識がついたら試験対策の技術として目的意識を持って取り組むと良いでしょう。

なお、今回紹介した時間短縮の方法はあくまで一例です。

アイデアの参考にしつつ個人にあった時間短縮方法を探してみてください。

時間が足りないという人が一人でも減りますように。

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