こんにちは、しろです。今回は本試験での記述対策と、それに向けた普段の勉強方針、記述に使う目安時間などを紹介します。
こんな方に最適な方法だと自負しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
今回紹介するのは実際に私が合格年度に行った試験対策であり、16点UPできた方法です。点数基準が改定されましたので今の基準だと32点UPできたことになります。
X(Twitter)では、「しろさんのおかげで合格できました。」というDMを複数いただいたことがあります。今回紹介する情報などは有料でも買うと言ってくれた方もいらっしゃった方法ですので、ぜひ参考にしてみてください(*’▽’)
記述の点数を上げたのはチェックリスト
結論から言うと、点数をアップさせたのは『チェックリスト』です。
記述を解く前に、自分なりのチェックリストを答案構成用紙に簡潔に書いておくことで、大幅にミスを減らせました。
方法を詳しく紹介していきますね。
不動産登記法で使ったチェックリスト
不動産登記の場合、答案構成用紙の端に
『敷、持分、共税、混、付記、本確、、、、、』
のように記載します。
元素記号の暗記みたいな感じですね。ごろ合わせでも良いし並べ替えても良いので、覚えやすいように一つの文章を作っておいて、先に用紙に書いてしまいます。
もちろんひらがなでも良いです。
意味はこんな感じです↓
- 敷 → 敷地割合による免許税の計算を忘れずに行う
- 持分 → 権利者・義務者の欄に持分の記載漏れをなくす
- 共税 → 共有持分での免許税の計算を忘れずに行う
- 混 → 混同抹消忘れをなくす
- 付記 → (付記)の記載漏れをなくす
- 本確 → 権利証が無い場合に、権利証や登記識別情報ではなく本人確認情報を選択
そして、これを記述回答時のミスチェックに利用しました。ミスしやすいならミスしないようシステム化してしまえ!!ってことです(*’▽’)
実務だと当たり前にやるチェック方法だと思うのですが「試験に利用するとこんなにも安定するのか!!」と模試の段階から感じておりました。
このリストは、普段の演習の際に間違えた箇所や何回も忘れてしまうポイントをピックアップしたものです。演習を繰り返しながら足したり削ったりして作ったものであり、演習から生まれた結晶ですね。
筆者の場合はこのように頭文字だけいくつか覚えておいて、試験開始と同時に答案構成用紙の右端に書いておきました(実際にはもっと文字がありましたが)。
一回本試験や模試を経験した人は分かると思うのですが、択一を解いて疲れたり時間がなくなったりすると、どうしても焦って記述での単純ミスは起こりやすくなります。それを初手で潰すのがこのチェックリストです。もちろん記述から解くという方にも見落としチェックの手段として有効でしょう。
商業登記で使ったチェックリスト
商業登記でのおすすめのチェックリストの使い方は『全ての添付書面の頭文字を、1文字ずつ書いておく』です。
答案構成用紙の端に、例えば『定・株ギ・リ・取・全同・総数・払・資・就・印・委・援用・新株・・・・』のような感じで書いていきます。覚え方は語呂合わせでもリズムでもなんでも良いです。
そして添付書面を回答する際には『登記の事由を見る→チェックリストを見て必要な物を拾う』の順番で進めます。すると添付書面の見落としをほとんどなくすことができました。
上記のように頭文字を覚えておけば、次のとおり連想できますよね。
- 定款
- 株主総会議事録
- リスト(株主リスト)
- 取締役会議事録
- 全員の同意書
- 総数引受契約を行ったことを証する書面
- 払込を証する書面
- 資本金の計上に関する証明書
- 就任承諾書
- 委任状
- 、、の就任承諾書は、、、、議事録を援用する、、、
- 新株予約権を行使したことを証する書面
その他。
実際に頭文字から書き起こしてみました。
このように『頭文字が答案構成用紙の端に書いてあるだけで、添付書面の見落としがなくなる』と考えたらとても画期的な方法じゃないでしょうか??(まだ添付書面が全然書けないという方は雛形を覚えるパートからです。あとで、記述の勉強方針を解説します。)
何かを思い出す時って、加算方式で思い出そうとするとリソース不足や焦りから出てこなくなったり、書いている最中に他の書面を忘れたりすることが多いのですよね。全てある状態から不要な物をカットしていった方が見落としが少ないです。
よく「定款書き忘れたー!」とか「議事録は書いたけど全員の同意書忘れたー!」なんて叫んでいる受験生をみかけますよね。チェックリストを使えば、そのミスがかなり減ります。
不動産登記はリストから選ぶ問題もあるのに、なぜこの方法を思いつかなかったのか。。。
自分はこれで(あ、、今年合格できるわ)と思いましたね(*’▽’)笑
添付書面はここではあえて全ては書いていません。ひな形集で勉強しつつ覚えやすいようにリストを作っていってみてください。最終的に自分が忘れやすいものだけでも大丈夫ですが、凡ミス排除が目的のため筆者としてはひと通り書くことをおすすめします。
チェックリストの必要性、記述の勉強の方針
次に、より具体的に記述の勉強方針を分解していきます。
チェックリスト自体は、演習問題を解くようになってからの対策という意味が大きく、初学者の方は「今見てもしょうがないかな」のように思ったかもしれません。
そんな方でも、次からの話と基本的な勉強方針はひとつの目安になるかなと思っております。
チェックリストのメリット
筆者がこの方法を利用し始めて感じたメリットは次のとおりです。
以下、簡単に紹介します。
頭文字をいくつか覚えて答案構成用紙に書くだけの手軽さ
本記事で紹介しているチェックリスト方式は『①注意したいことを短くリスト化しておく→②試験開始後に答案構成用紙に書く→③チェック用に利用する』という簡単な方法です。
要するに対策としてのコスパが良いです。
あっ、間違えてもリストを書いておいた紙を本試験中に使わないでくださいね。リストを書いた紙そのものを持ち込んで本試験中に利用したら不正です。
試験での見落としが減り、点数が安定する
リストはこれまでの演習でのミスを集約したものですので、作成したチェックリストを利用することにより、これまでに経験した凡ミスをしなくなるのが最大のメリットです。
うまく利用することで試験での点数が安定します。
択一を解いている最中の安心感
「今まで犯した凡ミスをしない」というのは、かなりの安心感が生まれます。
筆者の場合、試験開始と同時に初手で答案構成用紙にリストを書きました。こうすることで
「記述の時に、持分計算忘れちゃうかも(;’∀’)」
「いつもあの添付書面を書き忘れるの気をつけなきゃ(;’∀’)」
といった記述への不安がなくなり、メンタルも安定します。記述を先に解く方はこうした心配はありませんが見直しリストという意味では効果があるでしょう。
普段から取り入れることで、連続性を持って学べる
普段から自分用のチェックリストを書いて、演習のたびに更新しつつ勉強を進めることで、これまでのミスを思い出しながら演習ができます。そのため、知識が繋がりやすくなります。
もちろんチェックリストなんかなくても点数取れるよー!邪道だ―!という方はそれで良いと思います。少しずつリストに加える文字が減っていった方が、勉強が進んでいる証拠にもなるでしょう。
個人的には実務でもチェックリスト使いますし、点数を取るために効率が良いので使いました(*’▽’)
記述で点数が取れない原因6つ
合格するには?点数を取れ!点数を取るには?逆算思考!
ということで、そもそも点数を取れない原因を分解してみました。細かく分けるとキリが無いので今回は以下の6つに分けますね。
- 凡ミス
- 記述の練習不足
- 問題との相性
- 時間不足
- 運
- 択一や全体の知識不足
次に解決方法です。
- 凡ミスはチェックリストでほぼ解決できると思います。筆者はできました。
- 記述の練習不足は量で解決できます。あとで目安の量を紹介します。
- 問題との相性は、チェックリストや勉強量で解決できます。
- 時間不足対策に特化した記事はコチラです→時短アイデア
- 運は自分ではコントロールできません。強いて言うなら人事を尽くせば運もついてくるみたいです!
- 択一を突破できる人なら、記述で全く知識不足ということはあまりないと思います。択一突破がまだの方は、本記事で記述勉強の方針を確認しつつ日々の勉強を進めてください!
5,6について補足
運や相性を考えてしまう方は、上位を目指して不運でも合格するラインを目指すといいかもしれません。
筆者は択一突破からの記述落ちを2回経験しました。落ちた時の点数は不動産25商業10、翌年が不動産10商業25のような感じ。点数基準が変わったので今の基準だと2倍して50、20の合計70点みたいな感じですね。ご覧のとおり、不動産と商業でどちらが不得意というのは無かったため、運が良かったら基準突破の1回目での合格もあったかもしれません。
しかしそこは自責思考で。運の上振れを願っても仕方ないことであり、知識がありながら凡ミスや時間不足の対策が徹底できていなかったことが大きかったと思います。
そこで、実務を参考にミスをなくそうと思って辿りついたのがチェックリスト方式でした。
自分に合ったチェックリストの作り方
具体的なチェックリストの作り方と更新方法です。
- 記述演習を行う
- 間違える
- 間違えたところを1文字か2文字程度で表し、チェックリストに追加する
- 次の演習はチェックリストを記載して行う
この繰り返しです。
間違えるたびにチェックリストが数文字ずつ増えますが、そのリストを試験開始時にまず書いてしまうため、リストを基にチェックすることで同じような凡ミスをしなくなります。
さらに前回のミスを想起しつつ次の演習に行けるため、知識が繋がりやすくて良いと思います。
絶対的に間違えなくなった箇所はチェックリストから外しても良いでしょう。
最終的にチェックリストの文字が減って不要となるなら、それが一番の成功だと思います。その場合でも、見落としチェック用のリストを作っておいてもいいかもしれません。
実体判断そのものが分からない場合は、前述した「記述の練習不足」や「時間不足」「択一の知識不足」などが原因かと思いますので、それは勉強量でカバーするだけです。
直前期はさまざまな演習をクロールして拾う
- 勉強を繰り返すうちにチェックリストがほとんど不要になった
- 今まさに直前期
このような場合、直前期に手元の演習問題をクロールして、少しでも見落としそうな箇所をピックアップしてリスト化すると良いと思います。
点数を取れる自信がある方はもちろん利用しなくてもいいですし、あくまでリスト化は凡ミス対策であるため利用できたら使ってくださいませ。
記述の勉強方法と勉強時間の目安
ここからは、記述の勉強方法と勉強時間の目安を紹介します。初学の方や、やみくもに進めてしまっている方、方針に迷っている方は参考にしてみてください。
雛形を覚えるパートと、演習パートに分けて考える
まず記述は、以下に分けて考えて時間管理すると良いと思います。
- ひな形を覚えるパート
- 演習パート
雛形覚えパート 雛形は600個
ひな形とは、いわゆる登記申請書のテンプレートです。まず、ひな形がパッと出ないと記述問題は話になりません。
ひな形を覚えるとは、例えば「売買に所有権移転は?」と聞かれたら機械的に「年月日売買 権利者A義務者b 添付書面〇△◆ 登録免許税20/1000」などとアウトプットできるということです。
ひな形の暗記は作業的にできる部分であり、問題との相性や運に左右されないため、まさに凡事徹底という言葉がふさわしい勉強パートと言えるでしょう。
忘れやすいひな形は想起しやすい単語にしてチェックリストに加えてもいいですが、これに関しては手間が増えるだけな気もします。人によりけり。
初学者の場合、民法や会社法などの実体法の勉強中にもひな形を覚え始めると良いと思います。特にひな形学習は隙間時間に充てるのがおすすめ。疲れたときにパラパラめくるとかトイレに貼るとか、リズムを作って音声学習するなど、方法はなんでもいいです。時間を有効に使いましょう。
ひな形を学習する際にオススメの書籍
雛形の学習には、LEC海野先生の雛形コレクションシリーズがおすすめです。筆者は商業登記法の書籍手に入れたのは合格年度であり、相当後悔しました。
合計600個と数字でわかるため、数値目標で計画を立てやすいです。試験に必要な本を選べと言われたら、どちらも最優先で紹介したい本です。
※2024年11月現在、それぞれ第4版が最新ですが販売終了で第5版改定待ちのようです。ただし、発行予定の情報も見つけられないことと、海野先生のTwitter更新がほとんどないことから本当に発行されるのかもわからない状態です。
第4版にプレミアがついています。筆者の所有する第三版の定価が2700円ですが、記事投稿時点でメルカリで第4版が5800円で発見しました。アマゾンは1万円超え。。。。
2024年11月7日現在の動きとしては第5版の情報に注意しつつ、書店で第4版を見つけた際は購入するのが良いと思います。第三版以前のものでも基本構造は学べますが、どうしても改正法を比較しながらの勉強になると思います。手間が増えると思いますのでおすすめはしません。
詳しくは発行元のLECさんからの情報をお待ちください。
公式ページの検索バーにて『司法書士』と検索すると現在利用できるオンライン講座やその他の書籍を検索できます。
演習パート 不動産・商業 各60問
とある講師の方が『記述は60問やれば一通り論点を網羅できる』と仰っていました。(どなただったか忘れてしまって大変申し訳ないです。)
今やみくもに進んでしまっている方は、不動産登記60問、商業登記60問を目標に計画を立てたいところです。初学者の方にとっても、この分量を目標に計画を立てると良いかもしれません。
そして各演習問題から、本試験に持ち込む武器となる自分なりのチェックリストを完成させてみてください。
リストは自分のミスの繰り返しから作られます。そのミス達をリスト化して試験に持ち込む訳ですから『記述で同じ凡ミスをするかも』というストレスを消してくれる効果もあります。
60問ずつ確保するには
とはいえ、演習問題を60問集めるのはけっこう大変です。理想はそのくらいの量を勉強したいですが、仮にこの記事を読んでから次回試験に向けて計画を立てた場合、当年度では40問ずつくらいが限界値になるのではないでしょうか。
記述演習の方法は、市販問題集、過去問、予備校の演習、模試などがあります。合格者が去年の問題集を譲ってくれる場合もあります。
例えば
- 過去問20年分の過去問
- 当年の模試5回
- 予備校の答練(12問)
これで37回。正直なところ、ひな形練習と合わせてこれだけ完遂できればかなり論点を網羅できると思います。ただし過去問は法改正前のものも多いため、どこまでやるかは難しいです。
予備校によっては「枠ずれ防止に特化した答練」などもありますので、不安な場合は利用すると良いでしょう。
※古い問題は改正の影響があるため要注意です。改正前、改正後のどちらも解説付きの問題集などもあります。試験においては混乱する可能性があるため、改正前の法律のみで作られた問題に触れるべきかというとあまりおすすめしません。
契約や相続はそのときの法律が適用されるのが原則であるため、改正前の法律は実務に出れば必要になることではあるのですけど、試験においては避けて良いと思います。
計画に必ず落とし込む
計画は必ず立てましょう。計画を立てる際は、行動に変換できる数値目標を利用します。
やみくもに進めようとすると、範囲を網羅できているかもわからないためゴールが見えず挫折の原因になります。筆者の1年目は何もわかっておらず、ひな形を覚えるのが直前期に入りこんでしまい全く間に合いませんでした。
記述の勉強計画は、ひな形600個のほか演習60問ずつの完遂を一応の目安にしつつ、進捗に応じて修正すると良いと思います。
例えば、ひな形の600個を1個30分→270時間とすると1日1時間で9カ月ほどの計画が必要になります。実際にはパターン化で覚えられるものも多いですし、実体法の勉強や記述演習と合わせて覚えられることもあるため、ここまでの時間は要しないかもしれません。
演習については仮に1問2時間(解く1時間、答え合わせ1時間)を平均とすると不動産登記120時間、商業登記120時間になりますので、このくらいを記述演習の時間と想定すると計画を立てやすいでしょう。ただし記述演習は初めは倍くらいの時間がかかり、慣れてくると1問1時間未満で行うようになると思います。
計画は基本的に3カ月ほどの単位で立てて、実際にかかった時間や理解度を考慮しつつ修正という感じで進めるとバランスが良いと思います。こういうのも実務における事業計画と似ていますね。
1カ月や一週間単位だと成果が見えにくかったり、1年の場合はフィードバックの機会がなかったりします。『合格』をまで契約に含めた計画ができれば理想ですが、一発合格する方はこういうところが完璧だったりしますよね。
可処分時間や他の科目の進捗状況と相談しながら、記述の勉強量・勉強時間を目安として自分に合った計画を調整してみてください。
計画を立てる際のマインド、記述で挫折しない考え方
記述の勉強結果は点数に表れにくいため、最初は鉄壁を素手で殴っているような感覚に陥るかもしれません。これに関しては、そういうものなので仕方ないと理解しておきましょう。
記述の演習は基本的に毎回違う問題が出るため、一問できるようになってもすぐ次の問題で1点アップするわけじゃないのですよね。
それこそ60問くらい演習を行って、論点が一通り行き渡って、自分なりの解法が固まる頃にようやく点数が安定してくるという仕組みになっています。
- 演習の点数はすぐには伸びないためフォーカスしない
- 雛形を1個覚えた、1個間違えてチェックリストを更新できた、などコントロールできる結果にフォーカスする
こんな気持ちでいると、挫折せずに一歩ずつ進めるのではないでしょうか。
まとめ
本記事でのまとめはこんな感じです。
- 凡ミスが合否を分ける。
- 凡ミスはチェックリストで防げる。誰でも対策できる部分。
- 自分用のチェックリスト項目は、普段の演習からピックアップ
- 記述は雛形パートと演習パート
- 雛形は600個。演習は60問ずつ。具体的な数値目標にする。
- 試験までに行うことを計画する。
初学者の方で演習に辿り着いていない方でも、雛形暗記パートを少しずつ進めることはできます。ぜひ参考にしてみてください。ではまた(*’▽’)
こちらも人気です↓